少子化問題:教皇「現実性・先見性・勇気をもって皆で立ち向かおう」
教皇フランシスコは、5月10日、出生率や少子化をテーマとする会議に出席された。
この会議は「出生率のための基金」の主催によるもので、「冬の時代」と言われる今日のイタリアの人口動態および出生率をめぐり、社会の関心を高めることを目的に、2021年より毎年開催されている。
教皇にとっては、2021年と2023年に続き、3度目の出席となった。
会場であるバチカン近接地区の多目的ホールを訪問された教皇は、政治家や、ジャーナリスト、研究者のほか、多くの家族からなる参加者らの温かい歓迎を受けられた。
スピーチで教皇は、「すべての子どもという恵みは、神の人間に対する信頼を思い出させる」と述べ、「神は誰も除外することなく、一人ひとりに偉大で特別なご計画を望まれている」と話された。
教皇は出生率や少子化をめぐる問題に、「現実性」「先見性」「勇気」をもって、皆で立ち向かうことが大切、と強調。
「子どもの出生率の多さが、経済の不均衡や資源の不足、公害をもたらすという説がかつてあったが、人間の命は問題点ではなく恵みである」、「問題は世界におけるわれわれの数ではなく、われわれがどのような世界を築いているかにある」、「出生率は、ある国民の希望を測る最初の指標であり、子どもや若者のいない国は、未来に対する希望を失ってしまう」と説かれた。
こうした中、教皇は少子化問題に対応するには、子どもたちが未来を受け取り、若者たちが夢をかなえることを可能にするための効果的な政策と、先見性と勇気ある選択が求められると述べた。
そして、家庭を支え、若い夫婦たちが安定した仕事と家を持てるように手を差し伸べることが必要と話した。
教皇は特に若者たちに向け「勇気」という言葉を贈られた。
「多くの皆さんにとって、人口減少や、戦争、パンデミック、気候変動などの間で未来は不安定に見え、希望を保つことは容易でないかもしれないが、明日とは不可避な何かではない」と語った教皇は「明日を皆で一緒に築こう。この一緒の中には、まず第一に主がおられる」と励ましを述べられた。