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教皇フランシスコの葬儀ミサ 2025年4月26日 バチカン・聖ペトロ広場 教皇フランシスコの葬儀ミサ 2025年4月26日 バチカン・聖ペトロ広場  (ANSA)

教皇フランシスコ、いつくしみと福音の喜び伝えた寄り添う牧者

教皇フランシスコの葬儀ミサが、4月26日、バチカンでとり行われた。ミサを司式した、枢機卿団主席ジョヴァンニ・バッティスタ・レ枢機卿は、説教の中で、同教皇の教会と世界に対する奉仕を思い起こした。

 教皇フランシスコの葬儀ミサが、4月26日、バチカンでとり行われた。

 ミサを司式した枢機卿団主席ジョヴァンニ・バッティスタ・レ枢機卿は、弔辞の形をとった説教の中で、教皇フランシスコの司牧者としての姿と、その在位中の奉仕が教会と世界に与えた影響を振り返った。

 「わたしの羊の世話をしなさい」。これこそが主キリストがペトロとその後継者たちに与えた常なる使命、すなわち「仕えられるためではなく仕えるために」(マルコ10,45)来られた主キリストに倣う、愛の奉仕の使命である、とレ枢機卿は強調。

 羊のために命を捨てる善き羊飼い、主キリストの後に従い、晩年の健康状態や苦しみにも関わらず、地上の生涯の最後の日まで自己奉献の道を歩み続け、自分の羊の群れ、神の教会に、力強さと穏やかさをもって寄り添い続けた教皇フランシスコの姿を思い起こした。

 2013年3月13日、ベルゴリオ枢機卿が、ベネディクト16世の後継者として教皇に選出された時に「フランシスコ」という名を選んだことは、アッシジの聖フランシスコから霊感を得た、自身の在位の基礎となる一つのプログラムとスタイルの選択であるように思われた、とレ枢機卿は回想。

 司牧者としての気質と実践方法を保ちつつ、教会の統治にすぐに強い個性をしるし、個人や人々と直接的なコンタクトを築き、すべての人の近くにとどまり、困難に置かれた人や疎外された人々に特別な関心を示した、「人々の間にあってすべての人に心を開いた教皇」であったと述べた。

 教皇フランシスコの使命を導いた一本の糸は、「教会は皆の家、常に扉を開け放った家である」という信念であり、同教皇がよく用いた「野戦病院のような教会」という表現は、人々が抱える問題や、今日の世界を引き裂く苦しみに積極的に対応することを厭わない教会の姿を表すものであった、と同枢機卿は語り、それを示す例として、難民や貧しい人々を擁護するための同教皇の無数の発言や行いを追想。

 教皇の最初の司牧訪問が、海で遭難する移民たちの悲劇の象徴である、シチリアのランペドゥーサ島であったことに留意しつつ、ギリシャのレスボス島や、メキシコと米国の国境への旅もまた、同様の意味を持っていたと指摘した。

 47回にわたる教皇フランシスコの海外訪問の中でも、特に歴史に残るものとして、レ枢機卿は、あらゆる危険に立ち向かいながら行った2021年のイラク訪問を挙げたほか、教皇の最も遠く長い旅となった、2024年のアジア・オセアニア諸国歴訪にも触れた。

 教皇フランシスコは常にいつくしみの福音を中心に据え、神はわたしたちを赦すことに疲れを知らず、いかなる状況であっても、赦しを乞い、まっすぐな生活に立ち返る者を常に赦される、ということを強調し続けたと、レ枢機卿は話した。

 また、レ枢機卿は、教皇フランシスコが「いつくしみの特別聖年」(2015.12.8 - 2016.11.20)を開催し、「福音の心臓」といえる神のいつくしみに光を当てたことを振り返りつつ、実際「いつくしみ」と「福音の喜び」は同教皇の教えを代表する二つのキーワードであった、と述べた。

 教皇フランシスコは自身が「切り捨ての文化」と呼んだ風潮とは反対に、出会いと連帯の文化を説いた、と述べたレ枢機卿は、同教皇は回勅『フラテッリ・トゥッティ(邦訳「兄弟の皆さん」)』を通して、皆が同じ天の御父の子、同じ人類家族の一員であるという考えに基づき、兄弟愛に対する渇望が世界に再びよみがえることを願っていた、と語った。

 さらに、同教皇は回勅『ラウダート・シ』をもって、全世界の人々に「共に暮らす家」(=地球)に対する義務と共同責任に関心を持つように訴えたと、レ枢機卿は話した。

 近年、多くの戦争がもたらしている非人道的恐怖と無数の死と破壊を前に、レ枢機卿は、教皇フランシスコが平和を願って上げた絶え間ないアピールと、可能な解決を探るための誠実な対話への招き、「戦争は世界をそれ以前より悪化させる、戦争とは敗北である」という警告を指し示した。

 そして、「壁ではなく、橋を築く」ことを励まし続けた教皇フランシスコは、信仰への奉仕を、常にあらゆる面で人類への奉仕に結びつけていた、と回顧した。

 「わたしのために祈ることを忘れないでください」と、同教皇が講話や会見の終わりにいつも言っていた言葉を思い出しながら、レ枢機卿は、「親愛なる教皇フランシスコ、わたしたちは今、あなたに、教会のため、ローマのため、世界のための祝福と祈りを願います」と故教皇に呼びかけた。

26 4月 2025, 13:34