教皇、スーダンの紛争に市民の生命の尊重アピール
現在、バチカンで療養中の教皇フランシスコは、3月30日(日)、お告げの祈りの言葉を教皇庁の広報局を通して発表された。
この中で教皇は、同日の福音朗読箇所、ルカ福音書の「放蕩息子のたとえ」(ルカ15,1-3、11-32)をめぐり説教されている。
また後半、教皇は、南スーダンにおける緊張、スーダンの内戦等に言及しながら、対話を通した和解と平和を願われている。
教皇のお告げの祈りの言葉は以下のとおり。
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親愛なる兄弟姉妹の皆さん
今日の福音(ルカによる福音書15章1-3節、11-32節)で、イエスは、ファリサイ派の人々が、罪人たちがイエスに近寄って来ることを喜ぶどころか、それにつまずき、陰で不平を言っていることに気づかれます。
そこで、イエスは二人の息子を持った父親の話をされました。自ら家を出て、みじめな境遇に陥った息子は、帰って来ると父から喜びで迎えられます。もう一人の「従順な」息子は、父親に対し憤慨し、祝宴に入ろうとしません。
このように、イエスは神の御心を示されます。神は誰に対してもいつくしみ深い方です。兄弟として愛し合えるように、わたしたちの傷をいやしてくださいます。
この四旬節を、特にこの聖年においてはよりいっそう、いやしの時として生きましょう。わたしも今、それを身と心をもって体験しています。それゆえ、救い主の姿に似て、他者にとって、言葉や科学、愛情や祈りをもっていやしの道具となる人々に感謝します。
弱さや病気は、誰もが共通に体験することです。しかし、まさにそれゆえに、わたしたちはキリストが与えてくださった救いにおいて兄弟なのです。
父なる神のいつくしみに信頼し、平和のために祈り続けましょう。苦しむウクライナ、パレスチナ、イスラエル、レバノン、コンゴ民主共和国、地震のためにも大変な苦しみの中にあるミャンマーに、平和を祈りましょう。
南スーダンの状況を憂慮のもとに見守っています。国内の緊張を和らげることに力を注ぐよう、すべての指導者にアピールを繰り返したいと思います。それぞれの違いを脇に置き、勇気と責任をもってテーブルにつき、建設的な対話を始める必要があります。そうしてのみ、愛する南スーダンの人々の苦しみを和らげ、平和で安定した未来を築くことができるのです。
一方、スーダンでは、戦争が罪のない犠牲者を出し続けています。紛争の当事者双方に、兄弟である市民のいのちを守ることを優先するよう強く希望します。そして、この危機に恒久的な解決を保証する新たな交渉を一刻も早く開始することを望みます。国際社会がこの恐ろしい人道的惨事への取り組みを強化できますように。
幸いにも良い出来事もあります。その一例として、タジキスタンとキルギスの国境に関する条約の批准があります。これは素晴らしい外交的な成果を表すものです。両国にこの道を歩み続けるよう励ましたいと思います。
いつくしみの聖母、マリアよ、人類家族が平和のもとに和解できるようにお助けください。